競争がないと向上しない、という社会には問題があると思います。
受験も競争、出世も競争、スポーツも競争。音楽や美術や文学といった、本当は競争できないようなものまで競争しています。
近代はオリンピックに象徴されるように、競い合うことで成長し、繁栄してきました。しかしそれも、力づくで相手を叩きのめして服従させる、戦争という前時代的な思想を引きずったものという気がします。
もう、そんな競争はやめにしませんか。特に音楽や美術は、コンテストではなくコンサートや展覧会でいいのではないかと思います。競争なんかなくても、向上はできます。
競争ではなく共生。相手は敵ではなく仲間。一人ひとりが互いに長所を役立て、統合させていくという方法もあるのではないでしょうか。
競争をなくす!とまではいかなくても、「負けることは別に恥ずかしいことではない」と思える自分になることが大切です。
何をもって勝ち負けとするかは、目標の持ち方で変わってきます。スポーツ競技のように、ルールに則って判断するものはわかりやすいですが、生き方というとそう簡単にはいきません。ひとつの試合に負けても、それで自分や周りの人が成長するキッカケとなれば、人生の大きな成功につながるかもしれないからです。大切なのは勝ち・負けではなく、その経験から何を学び、どう活かすかだと思います。
■よい競争をすることのススメ
競争がすべて悪いものというわけではありません。ようは、何をどのように競争するかが問題なのです。勝ちさえすればいい、というような競争ではなく、たとえば、互いに成長したいという相手と「人にどれだけやさしくできるかを競う」。「今日はどれだけ向上できるかを、昨日の自分と競う」というようながんばり方にしていけば、有意義なものに変わってきます。