子供の頃は、多くの道がまだ舗装されていませんでした。夏の暑い日には道路の土が乾ききって、もうもうと砂煙が舞ったものです。一生懸命に洗濯した服も風が吹くと砂まみれ。自転車に乗るにも目は開けられないし、道路はデコボコ。そんな日には、大きなひしゃくで家の脇にあるドブから水を汲み、道路にまくのがひとつの仕事でした。
いつの間にか経済は発展し、車が増えて道路はアスファルトになっていきました。もう砂煙は起こらない。自転車もスムーズに走れます。でもふと思いました。地球は厚化粧させられているんじゃないか、と。ふざけてマニキュアを塗った時、なんだか爪が息苦しい感じがしました。きっと地球もそうなんじゃないか。心の中で、アスファルトに対する反発心が起こりました。
しかし最近になって「雨水を通す通気性の良いアスファルトの開発」という話を聞きました。少しホッとしたと同時に、ただ反発心だけを持っていた自分を反省しました。便利の恩恵は受けておきながら、悪い一面を責めてしまっていた自分を。
人間の知恵はすべて発展途上です。何かを良くしようとすると、副作用が生じます。だからといってすべてを否定してしまうのではなく、どんなこともあきらめずに改善することが大切だと気づかせてもらいました。
今日も雨が降っています。アスファルトの上を流れる雨水を見ながら、早く息のできるアスファルトになってくれれば、と願いました。
■悪い一部分を見て全部を否定しないことのススメ
排気ガスが環境に悪いからといって、車をなくしてしまえばいいかというと、そうはいきません。車はとても便利で、もはや生活に欠かせないものだからです。だったら排気ガスが出ないようにすればいい。または、排気ガスそのものを良いものに変えてしまえばいいのです。ある一面だけを見て全部否定してしまうのは、違うと思います。現状の良い部分をもっと良い方向へ持っていける力をつけたいものです。