Banshiren

食で人と企業と地域をつなぐ!

2018/2/4
考え方のちょっとしたヒント集
86.プロの条件

 80歳の女性書道家にお会いしました。プロとはどういうものか…みたいなことをコンセプトに取材をさせていただいたのです。
 何度も日展などで入賞し、大学の講師も務めた大家というので、きっと威厳があって、お金持ちで、プロとはこうだ~!という話を聞けそうだ、などとかってに思い込んでいたら、そこに現れたのは、ひざをかばいながらやってきた普通のおばあさんでした。
 「なぜ書道をはじめたのですか」という質問には「体が弱かったから」。空襲ですべてが焼かれてしまった時に、「今後は物を持たない生活をしよう。書道なら、自分の技術だけで生きていけるからいいかな」と思ったのがキッカケだそうです。
 「書道のプロとは」という質問に対しては「あら、何でしょうね」という具合です。そして、書を通して知り合った人たちとの関わりや大学での講議、書道教室の楽しさといった話の後に、こうおっしゃいました。
 「書とは、自分の書いた文字のどこを切っても、自分の血が流れてくるようなものと考えています。最近、ちょっとそんなのが書けるようになってきたかな、と思います」。
 まず稼げるようになること。そんなプロ意識を優先していた私は、強いインパクトを受けました。そして、一生をかけてプロというものを見つめていく大切さを知りました。

■本物を見つめていくことのススメ
 物にも情にも欲にもとらわれない、静かにまっすぐ、自分の道を極める生き方。えらぶらず、人に歩みよる生き方。それが本当のプロの姿なのかもしれません。本物の人、本物の生き方、本物のことに、人生の中でたくさん触れていきたいものです。


(MIKI)