Banshiren

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2018/2/4
考え方のちょっとしたヒント集
88.本当のやさしさ

 子供の頃は体が弱かったため、心配した父親に薬湯をよく飲まされました。
 どんぶりに干した草のようなものをバリバリと折って詰め込み、お湯を注ぎます。そして一晩置いて黄色くなった、その苦い苦い薬湯を飲むのです。
 たまらなく嫌だったのですが、体が丈夫になるのだと信じて、がまんして飲みました。ところが、飲むとお腹が下り、かえってどんどん痩せてしまいました。後で知ったのですが、その薬草は「せんぶり」というもので、稲穂のような干した草を湯飲み一杯のお湯にささっとつけ、やや苦みが出た程度で飲むもので、あまり出し過ぎると下痢をしてしまうため、気をつけなくてはいけないのだそうです。
 父親が子を思う気持ちに偽りはないのですが、「いいに決まっている」という思い込みや押しつけは、危険なのだと身をもって知りました。
 やさしさとはなかなか難しいものです。よかれと思ってしたことも、本当に相手のことを理解してのことでなければ、独りよがりになってしまいます。
 いつもやさしい言葉をかけてくれる人がやさしいかと言うと、それもちがいます。時に、相手のこと思って厳しいことを言ってくれるのが、本当のやさしさだったりもします。
 軟弱なやさしさ、半端なやさしさは、人を惑わせてしまう。そういう意味で本当にやさしい人って、身の周りにどのくらいいるのでしょうか。

■やさしくされる心構えを持つことのススメ
 やさしい言葉をかけてくれる人はいい人。そんな基準があると、せっかく自分のためを思って言ってくれた厳しい言葉も耳に入らず、逆に「自分のことをわかってくれない」と恨んだりしてしまいます。また「自分のために、こんなに一生懸命になってくれている」ということだけで満足し、かんじんな意見の中身を聞いていないということもあります。やさしさは、受けとめる側の心構えも大切です。


(MIKI)