Banshiren

食で人と企業と地域をつなぐ!

2018/2/4
考え方のちょっとしたヒント集
9.おいしくいただく

 20代の頃は、ご飯を食べるのが苦痛でした。
 面倒だし疲れるし。胃腸が弱いせいもあったかもしれません。しかし、もともとは生き物を食べるということに対する罪悪感が強かったのが一番の原因だったと思います。
 食事なんて、宇宙食のように一分で済んじゃえばいいのに、と真剣に思っていました。グルメなどと言っている人たちは、自分の楽しみのためだけに生き物をむさぼっているような感じがして、軽蔑さえしていました。
 ところがある時、食べ物というのは贅沢にするものではなく、その素材を活かし、おいしくいただくことが最高の供養になる、という話を聞きました。
 その時から考えが変わりました。人間、なんだかんだいっても食べなければ生きていけません。だったら粗末にせず、残さず、おいしくいただくことが一番良いのではないか、と思えるようになったのです。不思議なもので、それからは一つ一つの素材の味を感じられるようになりました。すると今まで嫌いだった食べ物も、ほとんど好きになってしまったのです。
 食べさせてもらった生き物にも、よりがんばって生きることで何かを返せるような気持ちが持てるようになりました。しっかり噛みしめるとでもいうのでしょうか。一つ一つの話も、一人ひとりの人間の考えも、少しずつ大切に受けとめられるようになってきたような気がします。歳をとるごとにいろんな味わいを感じられるようになって、最近では、おいしくないモノやできごとも、それなりに味わえるようになってきたようです。

■もっと命について考えることのススメ
 お刺身やハンバーガーのもとが何かを知らない子供たちが増えていると言われますが、大人だって、生き物の命がかかっていることを忘れているのではないでしょうか。畜殺されるところを見たら「かわいそう」と言うのに、平気で食べ物は残す。かわいそうと思える気持ちがあるのならば、動物の死を見つめ、命のことを見つめたいものです。きっと食べ物を無駄にできないと思います。


(MIKI)